2013年4月21日日曜日

『フォークの歯はなぜ四本になったか』

『フォークの歯はなぜ四本になったか』
ヘンリー・ペトロスキー
忠平美幸 訳

実用品に関する進化論を記した本。
タイトルにあるフォークの進化の過程はもちろんのこと、ファスナーやマクドナルドの容器など、本書では幅広く日用品を例として取り扱っている。
常日頃特別意識しないようなものが例として取り上げられるため、本書を通して、
文字通りの”もの”の見方が少し変わった。
デザインは人間の生活に密着しており、デザインは機能よりも失敗に従うという点を著者は大前提として主張する。

今回は本文中で印象に残った言葉を紹介したい。


インダストリアルデザインの世界において、あらゆるものの形を決定するのは一種の流行。受け入れられる形であって、斬新でなければならない。


デザインには数多くの難しい問題があり、必然的にその解決策はデザイナーたちが理解している過去の問題箇所ばかりか、未来へと続く道を彼らがどれだけはっきり見据えているかによって決まる。


デ ザイナーはもっと慎重かつ徹底的に、外見や短期的なデザイン問題の目標の先を思い描き、それらの長期的な結果に目を向けなければならない。ビジネスの世界 に例えて言うのなら、四半期の決算を越えた未来を想像し、いつの日か書かれるであろう社史の見地から物事を考えなければならない。


文明の進歩そのものが過誤と欠点と失敗の相次ぐ修正の歴史。





一体誰のために、何のためにデザインするのか、という点を常に考慮する必要性があるという点が印象に残る。
また、進歩は常に失敗から見いだされ、デザインも例外ではない。この点から、この世に存在する全てのものはそれぞれの多様な見方から評価を下した場合、未だに不完全なものであるということを痛感した一冊であった。


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