2013年8月12日月曜日

ヘブン

川上未映子

善悪や強弱といった若者の新境地、と宣伝されていたため、興味を持って購入。

内部をまとめるために、外部に敵を作る。国際社会において、多数派がとりやすい手段である。背景には内部の矛盾や恐怖を、外部の主体に見出すことで内部矛盾をごまかすとでもいえようか。

内部と外部の関係は国際社会における主体間の争い以外の場面でも見出せる。近年の若者は自分とは何かという複雑な問いに苦しんでいることが多い。自分を理解するには、自分の外を見ると良いという。相対的に自分を感じることで自分を作り上げて行く。

しかしそれは相対化された環境においての自分にすぎない。教育の場でのいじめを題材に、自我とは何か、善悪とは何か、若者が自分なりに理解していく過程を描く。

民王

池井戸潤

総理大臣の父とその息子が入れ替わる話。

普段知る事のない親子それぞれの思いを双方が理解するというよくありがちなストーリー。