2013年8月12日月曜日

ヘブン

川上未映子

善悪や強弱といった若者の新境地、と宣伝されていたため、興味を持って購入。

内部をまとめるために、外部に敵を作る。国際社会において、多数派がとりやすい手段である。背景には内部の矛盾や恐怖を、外部の主体に見出すことで内部矛盾をごまかすとでもいえようか。

内部と外部の関係は国際社会における主体間の争い以外の場面でも見出せる。近年の若者は自分とは何かという複雑な問いに苦しんでいることが多い。自分を理解するには、自分の外を見ると良いという。相対的に自分を感じることで自分を作り上げて行く。

しかしそれは相対化された環境においての自分にすぎない。教育の場でのいじめを題材に、自我とは何か、善悪とは何か、若者が自分なりに理解していく過程を描く。

民王

池井戸潤

総理大臣の父とその息子が入れ替わる話。

普段知る事のない親子それぞれの思いを双方が理解するというよくありがちなストーリー。

2013年7月27日土曜日

娼年

石田衣良

バーでアルバイトをするリョウは、ある日突然訪れた男性クラブのオーナーに誘われ、
男娼として働き始める。

男娼として働くうちに、女性が見せる多様な快楽を目の当たりする。
自分の見た事がない世界をさらに見たいという欲望から、仕事を続ける事になるリョウの前に、大学の友人であるメグミが現れ、物語は終盤へと向かって行く。

村上春樹を感じさせた。
リョウは、性などに対して無関心であるが、なぜか色々とうまく行く。
あまりにも現実離れした展開に笑ってしまうこともあったが、
これが自分の知らない現実のどこかでは、本当に起こっている話であるのかもしれないと思うと、リョウのようにもっと知りたいという感覚を覚える。

そもそも現実離れした、という場合の現実とは、自らがそれまで生きてきた人生経験に基づいている。したがって各々が考える現実には、だいぶ個人差がある場合が多いと言える。男娼とは言わないまでも、さらに多くの事を若いうちに経験しておきたいと思わせるような一冊だった。


ナショナリズムの克服

姜尚中
森巣博

上記の2人が日本のナショナリズムや民族意識などについて対談した内容をまとめた一冊。

ある社会の内部の矛盾を外部化することで、その社会が存続していくという考え方に共感を覚えた。

これは民族という要素だけではなく、国際関係にも言える事だが、都合の悪い事があれば、すぐに外部化する点は特に日本人において顕著であると感じた。

日本人は、その領域の内側と外側を区別するために、無意識に境界線を引いてしまいがちである。


物語 タイの歴史

柿崎一郎 著

東南アジアの雰囲気が好きな日本人は多いと思う。
特に若者にとっては、物価や治安の面から、旅行しやすい地域でもある。
また、個人に限らず多くの企業が東南アジア地域に進出をしている。

単なる旅行でも目的地の歴史や情勢を知ってから行くとさらに楽しめるものだ。
タイを旅行するにあたって、本書を購入した。

本書で強調されているタイの姿とは、世渡り上手な姿である。
特に13世紀以降のタイ(それに相当する王朝)はその世渡り上手さを生かして、
自国の発展と安全保障を確立してきたと言える。

特に、フランスとイギリスの緩衝地帯として存在していた点などを見ても、他の諸国家の力をうまく利用してきた事がうかがえる。

後半では、タクシン政権の話を中心とした現代のタイを書いている。
世界銀行が言うような、中所得国の罠に嵌りつつあることを感じさせた。



2013年7月4日木曜日

『23分間の奇跡』

ジェームズ・クラベル
青島幸男 訳

The Children's story......but not just for children

そんな言葉が表紙に書いてある。

ストーリーは単純だ。
幼い児童のクラスに新たに担任の先生として赴任した。
これまで子どもたちが教わっていた教師とは全く違う雰囲気を醸し出し、違った意見を述べる先生がやってくる。
新しい先生によって、子どもたちの考え方は、たった23分間で変わってしまうという教育の持つ恐ろしい力を書いたものだ。

Amazonなどのレビューでは、大人も考えるべき、教育の問題!などと、書いている人々が多くいた。確かにそうなのだが、これは教育の場だけに当てはまることではない。

大人でさえも、日常のあらゆる場面でバイアスにかかっている。最近で言えば、反日デモを煽ったマスメディアが例として挙げられるだろう。
これまで持っていた考えを簡単に変えられてしまい、加えて自分の認識が変わっていることに気づかない人すらいる。

教育の問題に限らず、世の中のあらゆる場面で、洗脳に近いことが起きている。
その意味で私はnot just for children という言葉を受け止めたいと思った。

2013年7月3日水曜日

『こんな日本をつくりたい』

石破茂×宇野常寛

日本のカレーをインド人に食べさせる映像があった。
インド人はうまいといいながらカレーを食べていた。
本場の味を取り入れつつ、新たな風を吹き込んで発展させていく日本のスタイルである。

石破カレーというものがある、その名の通り、自民党の石破茂氏が党大会の前に、自民党本部で配布するカレーのことだ。大のカレー好きである石破さんは学生時代、毎日のようにカレーを食べていたという。

その石破さんと注目の若手論客である宇野氏の対談を収録した一冊である。
生まれた時代も、育った環境も違う両者がどのような対談をするのか興味深かったため、手に取った。

社会保障、雇用、農政、国防、地方自治、選挙制度など、対談の内容は多岐にわたる。地元選挙区ではいわゆる農業票が強い石破さんだが、TPPに参加し、農業を外に広げていく考えを持っているという点は、若い世代(一纏めにできるないとは思うが)の意見と共通する印象を受けた。

一方で、宇野氏の意見などと食い違うこともあった。それは至極当然のことである。

若い世代と年配の世代、世代間格差が問題となっている今だからこそ、世代を超えた対話が必要であるように感じた。

お互いの意見を尊重し、違った意見の中にもいい点を見つけて取り込んで前進していく。
まさに外国の文化を取り入れて発展していく料理の世界のように、今後の政治に期待したいものである。

2013年6月26日水曜日

『What I Wish I Knew When I Was 20』

Tina Seelig

宝くじで高額当選した人が、そのコツを語る番組があった。
いくつかの実用的なコツとともに、過去の当選者が口を揃えて言ったのが、
販売員が笑顔であることだった。

そもそも宝くじの当選確率はどのくらいなのだろうか。
宝くじの規模によって異なるが、一説に1等は1000万分の1とも言われている。
1枚300円のくじを買うリスク。

ただし裏を返せば、リスクを冒さなければ、確率は0である。
宝くじはどうかわからないが、
ことによってはリスクをとらないことが、一番のリスクとなる場合もあるだろう。

カリフォルニアでは、リスクを冒して自らの可能性に挑戦し続けるマインドが根付いている。その環境を求めて、多くの人間が世界中から技術や能力を持ちよる。
失敗を恐れず、とにかく動く、そんなエネルギッシュな場所で、活動的な学生が集結し、
起業学を学ぶクラスがあるという。

スタンフォード大学のティナシーリグ教授の起業論はNHKでも放送された話題の授業だ。
生徒がビジネスの場で必要なスキルをロールプレイングなどを通して学び、最終的には起業体験をする。
授業の一部では、地の利を生かして実際の起業家が授業に招き、ディスカッションも行うという魅力的なプログラムだ。

起業家になりたい人に起業について教える。そんな教授は客観的にみれば、間違いなく成功者だろう。
ただし彼女は医学部卒で脳に関する研究をしていたのだ。(今もしているはず)
多才の一言に尽きる。

そんな教授がこの本を通して、学生に向けて、いくつかのアドバイスをしている。
リスクを取ること、失敗を恐れないこと、そして常にワクワクしていること。

リスク、失敗、期待、あれ宝くじだ。
といった発想力のない平凡な私に大きいことはできないので、
せめて動き回るところだけは真似して、
とりあえず宝くじでも買いに行こうと思う。




2013年6月15日土曜日

『ソーシャルメディアマーケティング』

ジムスターン
酒井泰介

近年需要の高まるソーシャルメディアマーケティングの第一人者、ジムスターンの本。

戦略•戦術のたて方、そしてそれらの効果測定について書かれている。

日本でもようやくここ数年で、SNSやブログなどを積極活用したマーケティング戦略が取られるようになった。欧米に比べて4〜5年ほど遅いのではないかと感じさせる。ようやくマスメディアも、ソーシャルメディアが盛り上がっているという特集番組を放送するようになった。
中でも顕著なのは、SNSなどを批判するために、若者を引き合いに出し、これまで我々が築いてきた生活とは違う化け物のようだというメッセージを盛んに発信していることだ。

話が少しずれたが、今後はマスメディアとソーシャルメディアが協同していくべきである。それはニュースに限らず、マーケティング戦略に関してもそうだ。

ソーシャルメディアは、市民に「参加」という大きな要素を与えた。
商品やサービスを買うのは消費者であり、消費者の声をいかに集め、いかにその声に答えていくかが重視される時代において、ソーシャルメディアは今後も大きな役割を担うだろう。

ジムスターンが言うように、ソーシャルメディアで情報を発信すればオッケーというのは違う。その効果測定を行い、次につなげていくことが最も重要である。

現在のほとんどの日本企業は、情報を発信してそれで終わり、というマーケティングが多いように感じる。
これは顧客第一と表面上だけで言っている現れなのでは、と疑ってしまう。


『マーケティングと消費者』

朝岡敏行

マーケティングを浅く、幅広く網羅した入門書。
伝統的なマーケティング論といえそうな内容の構成だった。


『マイクロマーケティング入門』

鈴木豊

グローバル化が進展する現代だが、次第にローカルな面が重要視されている傾向にある。
これは主に政治学の世界で言われていることだ。

国境を越えた取引や活動を通して、それぞれの結びつきが強くなった一方で、文化や価値観、あるいは経済格差など、様々な問題が生じている。
人々は自分のコミュニティーをより重視するようになり、極端な例を挙げれば、フランスの極右政党の対等なんかもその一つではないだろうか。

そんななか商業はどうなのか。
依然として大規模で価格の安い大手ショッピングセンターなどの進出により、中小の個人商店は危機を迎えている。
もちろん大規模な企業が同じ地域に参入してきたことで、価格や品揃えの面など個人商店では絶対に勝てない要素がある。

アメリカで勢力を拡大するウォルマートは一部で大きな批判を受けている。それまであったローカル経済を破壊し進出するそのスタイルは、まさに帝国主義時代の諸列強国のようであると。

しかしながら、そういった大規模のチェーン店でも、かなり綿密なマーケティング戦略が取られているところもある。
特にその地域で生活する人々が何を求めているのかをしっかり把握し、売り場のレイアウトや品物のディスプレイ方法などを細かく変更している所もある。

店舗ごとに特色がある、というのは面白い。その地域ではどのようなニーズとウォンツがあるのかが他店と比較して明らかになるからだ。

おそらくは小売業に従事する人に向けて書かれた本であるが、消費者目線で読んでも面白く、今後の何気ない買い物に少し花を添えることになるだろう。

2013年6月8日土曜日

『売れる色の理由』

芳原信

色が人間に与える影響には以前から興味があったので、手に取ってみた一冊。
今後のマーケティングや日々の生活に生かしたいと思える内容だった。

具体的な商品を上げ、色による効果を語っている。また、同じ市場で競合する会社同士の色の戦略も面白い。

シャンプーを例に挙げると、花王、ユニリーバ、P&Gといった会社ごとに商品のカラーは異なる。例えば、ユニリーバのラックスは白に金色の文字と、高級感を全面に表現していうる。高級感を表現することが、海外ブランド製品に共通する戦略である。
一方のアジエンスは東洋的な美を表現するために、金色あるいは銀色のボトルを採用している。
また、資生堂が発売したTSUBAKIは大ヒット商品となったが、これも東洋的な美を表現したものといっていいだろう。

またこういった色のイメージに合わせた宣伝や広告の戦略が組まれることが一般的である。

ほかにも看板の色が与える影響など、実例を交えて解説している。

ビジネスパーソンだけでなく、主婦や学生が読んでも日々の生活の中で、商品に対する見方が変わるであろう一冊だ。


2013年6月6日木曜日

『世界を虜にする企業』

『世界を虜にする企業』
ZARAのマーケティング&ブランド戦略

ヘスス・ベガ

スペインのファッションブランドZARAのマーケティングやブランド戦略について書かれた本。
著者はGoogleやスターバックス、あるいはZARAのようなセクシーカンパニーこそが今後の世界を牽引してくと熱弁する。
セクシーカンパニーとは、私なりに解釈すれば、コストや品質はもちろんのことだが、客の感情に訴えかけて、自社のサービスに共感してもらうことで商品を買ってもらうようなことに成功している企業である。
まさに昨今のアップルはその例とも言えるだろう。
アップルの商品が好きだから買う、という顧客が多いのは確かだ。

しかし著者は、成功した企業が陥るリスクは、成功そのものにあると忠告する。
これは以前紹介したシャネルの考え方と一致する点があり、変化し続けられないものは生き残らないということなのだと解釈した。

ZARAの場合の”変化”とは、常に新しい欲望を持ち続けることである。
イメージを磨いて、インテリジェンスを手に入れ、そしてパーソナリティを創り上げる。このようなブランド戦略を行い、なおかつ新たな欲望を追い求め続ける。

確かに世界にインパクトを与え、有名になっている人こそ、一つの成功で満足していないなと感じる。 既に一生を遊んで暮らせるくらいの額の金額を稼いでいる人が更に投資を続けたりする。

今後世界で通用していくためには、常に新しい目標を見つけ、それらを実現することができる能力に加え、自分ではなく相手がどのようなものやことを欲しているのかを理解することが重要なことであると感じた。
これは個人と企業の両方に共通することである。



『伝え方が9割』

『伝え方が9割』
佐々木圭一

言葉はつくることができる。
言葉一つで相手の感じ方は異なり、物事の結果も変わってくる。

世の中に出回っている有名な宣伝文言も、一部分を変更しただけでインパクトが減ってしまう。
また長文も、文章の内容よりも、形式などによって読むか読まないかを左右するだろう。
おそらくこのブログ自体もそうだ。

他にも人を誘う場合のコツなど、具体例があって理解しやすい内容だった。



2013年6月3日月曜日

『リッツカールトンが大切にするサービスを超える瞬間』

著者 高野 登
出版社 かんき出版

バイト先の先輩に勧められて読んだ1冊です。

みなさんはホスピタリティという言葉の意味をご存知だろうか?親切心、思いやり、心からのおもてなしという意味です。これを持つことでリッツカールトンの社員はサービスを超える行動がとれるのだそうです。この本の中で紹介されていた出来事を1つ載せておきます(このような話をリッツカールトンではワオ・ストーリーというそうです)。
砂浜でビーチチェアを片付けていた係が男性に声をかけられました。その男性は今日ビーチでプロポーズをするからビーチチェアを一つ残しておいてほしいとのことでした。普通なら言われたことだけしますが、その係はテーブルも用意しさらにそこにテーブルクロスを敷き、お花とシャンパンを飾りました。またプロポーズの際に男性の膝が砂で汚れないように、椅子の前にタオルを畳んで敷いて、自分も正装に着替えてカップルを待っていたというエピソードです。

リッツカールトンではこのようにお客が言葉にしない願望やニーズまでそれを先読みしてそれに応える事を使命にしているというのです。これによって感動が生まれるのだと。

誰が読んでも、普段からの気遣いや心遣いに気をつけてみようと思える1冊であると思います。


2013年6月1日土曜日

『シャネルの戦略』

『シャネルの戦略』
長沢伸也

世界で最も有名なブランドの一つ、シャネルの経営戦略について検証した一冊。
ラグジュアリーブランドのマーケティングの参考になるのはもちろん、どの企業や団体に対しても参考になる内容である。

ルイヴィトンなどと比べて、シャネルは異色の存在だ。
ココ・シャネルという、いわば起業家が一から作り上げ、彼女の死後もブランドの地位を維持し続けている。

重要なのは、伝統を尊重しつつ、革新をしていくこと。
他には代替できないような技術を存分に活用し、商品を作ること。
以上の2つに凝縮される。

いわゆる絶対的なリーダーが引っ張ってきた企業は、そのリーダーがいなくなると、突然うまくいかなくなる場合が多い。
まさに現代のアップルはそうなのではないか。
確かに売り上げといった「結果」だけに目を向けると、依然として突出した結果を残しているアップルだが、以前のような革新性に欠けるように感じる。
革新を追い求めるには自身を適切に理解し、加えて世の中の変化に敏感でなければならない。
その点でシャネルは非常に柔軟な商品戦略をとっている。

著者が言うように、シャネルは、ファッションを消えゆくものとし、消えることのないスタイルを追求した。だからこそ現代でもそのブランドを維持できている。

伝統は継承しつつ、新しいことは大胆に。
そして徹底的な技術経営。
シャネルが世界のトップブランドの一つとして存在する理由が少し理解できた気がした。






2013年5月29日水曜日

『シュレディンガーの哲学する猫』

『シュレディンガーの哲学する猫』
竹内薫、竹内さなみ

哲学の基本をストーリーに沿って解説する物語。
哲学する猫が登場し、その猫との関わりの中から哲学を解説していく。

哲学といっても幅が広いが、この本ではハイデガーやフッサール、サルトルなど哲学に造形の深い人でなくても知っている名前の哲学者が登場する。

哲学の堅苦しいイメージを払拭しようとする意図が見えるが、帰って内容が中途半端になっており、初心者にはよくわからないし、哲学を既にある程度学んでいる人にとっては退屈である可能性が高い。

2013年5月27日月曜日

『夜と霧』

『夜と霧』新版
ヴィクトール・フランクル
池田香代子訳

ナチス政権下の強制収容所をリアルに描き、かつ心理学的に人間を分析をした世界的ベストセラー。

まず、 強制収容所の実情が詳しく書かれている。というのも著者自身の強制収容所での体験をありのまま描いているからである。当時の監視員からの仕打ち、また収容所の生活などは想像を絶するものだ。
しかし何より凄いのは、その極限状態でのヴィクトール・フランクルの分析力である。食べるものも十分に与えられず、病気を幾度となく患い、そして周りの人々が死んでいく中でもなお、人間を冷静に分析している。これに加えて驚くべきことに、監視員の心理まで分析していた。
 極限状態においても、学問への情熱を本能的に保ち続けるその姿勢は驚嘆に値する。

フランクルは極限状態から、人間とは何か、生きる意味は何かという問いに対する答えを見つける。
彼なりの答えは非常に力強く、悲痛なまでの経験によってその説得力は際立っている。特に未来の目的を持ち、なぜ生きているのかを常に考えることの重要性を強調している。
これら彼の答えは、現代を生きる人々が読んでも気付かされることが多く、若いうちに絶対に読むべき本であるといえる。

何より、自分の悩みや苦痛がいかに小さいものにすぎないか、痛感する。
これこそ自己啓発の為に読む本といってもいい。

最後に印象に残った言葉を紹介する。(これ以下はネタバレの可能性あり)

・あらかじめ精神的に、また人間的に脆弱な者が、その性格を展開していく中で収容所世界の影響に染まっていく - 117

・ 目的のない人間は、過酷極まる外的条件が人間の内的成長を促すことがあるということを忘れている。 - 121

・生きるとはつまり、生きることの問いに正しく答える義務、生きることが各人に課す課題を果たす義務、時々刻々の要請を充たす義務を引き受けることにほかならない。 - 130

・過去で”ある”ことも、一種の”ある”ことであり、おそらくはもっとも確実な”ある”ことなのだ。 -138



2013年5月25日土曜日

『メディア・コントロール』

『メディア・コントロール』
ノーム・チョムスキー

主にアメリカ民主主義とメディアの問題点を批判した一冊。
言語学者だが、戦争やメディアに関する業績も突出しており、アメリカが行う多くの戦争に対して反対の意を唱えていることもも有名である。

民主主義社会といえば、国民主権などが前提。そしてな何より、情報へのアクセスが不可欠である。
しかしチョムスキーはその情報へのアクセスがアメリカでは全く実現されていないという。
メディアは大衆の動向を操作するために使用されてきた。そして21世紀現在もそれは変わらない。

日本でも未だにマスメディアが大衆に与える影響は大きい。
先日の中国での反日デモのように、一部の人間だけが騒いでいる事態を、煽って報道することも少なくない。

しかし、私はマスメディアは腐敗したとは思わない。なぜならば、民衆を操ることこそマスメディアの一番の役割だからである。
真実を伝えるといった姿勢は全く感じられない。
そのかわりに市民がインターネットなどを利用して、自ら情報を取捨選択する時代になっている。
市民対権力という戦いの構図は今後もかわらないが、内容は随分と変化するだろうと推測できる。

本書を皮切りに、メディア論などに関する本を続けて読んでいく予定だ。


2013年5月23日木曜日

『西洋哲学史入門』

『西洋哲学史入門』
柘植尚則 編

西洋哲学に関する入門書。
様々な人間の哲学が紹介されており、入門書としてはちょうどいい。
本書をきっかけに自らの興味ある分野を掘り下げていくことができるだろう。

真理と認識、人間と自然、進歩と歴史、幸福と道徳、個人と社会、そして神と人間という6つの主題に分かれている。
個人的に興味があるのは幸福と道徳、個人と社会であったため、今後この分野を掘り下げていこうと感じた。

2013年5月22日水曜日

『タモリのTOKYO坂道美学入門』

『タモリのTOKYO坂道美学入門』
タモリ

タモリさんといえば、多才、多趣味で有名。
今回は「笑っていいとも」で紹介されていた、坂道に関する本を読んでみた。

タモリさんは講談社のお偉いさんと日本坂道学会を設立。東京を中心に坂道の歴史やその情景の美しさなどを伝える活動をしている。
実際、過去にいくつかの雑誌で、坂道に関する特集が組まれている。
東京は世界的な他の大都市と比べても、坂が多い街だそうだ。
ちなみにWikipediaによると、その講談社のお偉いさんは東京にある名前のついた坂を全て踏襲したそうだ。 笑

本書だが、とにかく歴史の知識が凄い。
坂道の何がいいんだよ、と最初はニヤついていたのだが、そんな自分が愚かだったことを知る。
東京には由緒ある坂が思いのほか多くある。 歴史上の有名人なども同じ場所を通ったと考えると、確かに非常に感慨深い。中には後三年の役当時の様子にちなんで名前が付けられた坂もあるそうだ。

街の様子は時代とともに大きく変わるが、坂道は自然と昔から変わらず残っていることが多いそう。坂道を歩くことで歴史に改めて目を向ける良いきっかけになった。

2013年5月20日月曜日

『深夜特急1 香港・マカオ』

沢木耕太郎  新潮文庫

人の海外での体験を読んでも個人的には何の役にも立たないものであると思う。結局は「百聞は一見に如かず」なのである。偉そうに言ってるが自分は海外に1回しか行ったことがない。

じゃあ何で読むのか?と考えてみた。それは共感できる部分があるからではないか。違う国に行っても感じることは似ていたりする。そういうのを読んでにやけてしまう。それが癖になって役に立たないと分かりつつ読んでしまうのかもしれない。

2013年5月18日土曜日

『採用基準』

『採用基準』
伊賀泰代

元マッキンゼーでコンサルタントをしていた著者の体験談を元に、企業や個人の在り方を啓蒙していく一冊。
特に日本の大学生は読むべき一冊と言える。

最近では日本の一括新卒採用や終身雇用システムなど、日本企業の文化に疑問を持つ若者も増えている。私も漠然とした疑問を持っていたのだが、この本を通して、その考えを整理することができた。

現在の日本に足りないのはリーダーシップ。作中でも何度もリーダーシップという言葉がでてきた。リーダーシップというと、日本ではスティーブジョブズのようなカリスマリーダーを思い浮かべる人が多いが、実際は違うという。
今後重要になるリーダーとは、簡潔に纏めれば、自ら問題を発見しどうやったら解決できるかを考え、主体的に動く人と言えるだろう。

いつかTEDでDerek Siversが、この世の全ての人がリーダーになろうと思ってもダメで、それをフォローする人こそ重要と述べ、私はそれに共感した。しかし日本人である私が解釈した”フォロワー”とは随分日本人的な考えに傾倒していたように今は思える。
たとえ、フォロワーという立場であっても、リーダーシップは要求されるのだ。

自分にこういう考えがあって、だからこの人をフォローするという主体的な姿勢が非常に重要なのだ。
これまでフォロワーというと、リーダーの下でリーダーを支える縁の下の力持ちとしか考えていなかったが、それは違う。

リーダーシップを中心に、リーダー不在の日本にメスを入れていく、そんな一冊だった。
 今後、日常のあらゆる場面で、主体的に考え、行動していきたいと強く感じた。


『スタバではグランデを買え! ―価格と生活の経済学』

『スタバではグランデを買え! ―価格と生活の経済学』
吉本 佳生

タイトルの通り、日頃我々一般人が購入するものの価格について、経済学の知識があまりない人にも理解できるように書かれた一冊。
タイトルにあるスタバのみでなく、100円ショップといった身近な例が次々と出てくるので、面白い。

日本では取引のコストが価格の大部分を占めていることを、図などを駆使して分かりやすく説明されている。
今後モノを購入する場合に、原価や取引コストを考えると同時に、その便益にあまり固執しないで、欲しいモノを買おうと思った。


2013年5月16日木曜日

『サッカー戦術クロニクルⅡ』

『サッカー戦術クロニクルⅡ』
西部謙司

サッカー戦術クロニクルに続く第二作目。
前作はトータルフットボールとは何か、という中心的な問いに沿って文章が展開されていたが、今作は現代サッカーの種々の戦術について、だいぶ幅広く取り扱っている。

現代サッカーとは何かと言われると、21世紀に突入してからは、カウンター型とポゼッション型のチームの2極化のように感じられる。
ただし、圧倒的にポゼッションを重視するチームは少なく、それゆえ、その代表でもあるバルセロナは多くの人を魅了するサッカーとしてみなされるのではないだろうか。

ただし前者のカウンター型といっても実際は様々で、いったんリトリートしてからカウンターを狙うチームもあれば、高い位置からプレスをかけてショートカウンターを狙うチームもある。

一つ言えるのは、ボールを持っているチームの方がリスクが高いということ。
より組織的で、固い守備陣が構えている場合は、なおさらだ。

本文ではチェルシー、リバプール、そしてノルウェーなどの戦術を例にとって、戦術を分析していく。
読書して思ったことは、チームの戦術はチームのメンバーによって、大きく左右するということ。当たり前のように感じるが、どんなに一貫したスタイルを貫いているように見えるバルセロナであっても、メッシがいるときといないときでは随分違う。
 かつてのチェルシーのカウンターもドログバというターゲットがいたから、あの戦術が用いられた。

今後のサッカー界においても、一部の突出した選手を中心とした戦術の進化が予想できる。


 

2013年5月13日月曜日

『ジャーナリズムの原則』

『ジャーナリズムの原則』
ビル・コヴァッチ


アメリカの大学のジャーナリズムを学ぶ学生が、入門書として手に取る機会が多い一冊。
アメリカのジャーナリズムに関して細かく書かれているので、日本のジャーナリズムと比較することができます。

残念なのは日本語の訳。
私の読解力の低さも相まって、非常に難解な文章に感じました。
とにかく読みにくい。

今度、原書を手に入れて再び、読みたいと思います。

2013年5月8日水曜日

『池上彰の政治の学校』

『池上彰の政治の学校』
池上彰

昨今の時事問題解説番組の増加によって、日本人で彼を知らない人はいないだろうと推測される池上さんの一冊。
これまた、政治の基礎の基礎を非常に分かりやすく解説しています。

私の専門は広く言えばまさに政治経済なのですが、本当にわかりやすい。
専門として勉強している人でも、他人、特に子供にも分かるように政治を解説するのは少し難易度が高いことです。

選挙、政党、官僚、ポピュリズムなど広く浅く解説しています。
ネット選挙に関する章もありましたが、ここだけは内容が希薄です。

冒頭でも述べたように、非常に分かりやすい一冊なので、超超入門として読むのはかまわないと思いますが、これだけで理解した気にはならない方がいいと感じました。

また、池上さん本人の意見も極めて少なく、この本からだけでは彼の政治に対する見地などが分かりづらく、曖昧に感じます。今回の執筆の目的は自らの立場を表明することではないとしても、意見が少なすぎます。

巷でたまに言われることですが、メディアに露出している姿だけで判断すれば、池上さんはジャーナリストではなく、単なる学校の先生のようです。というのも、何が原因なのか知りませんが、自分の意見を全面に出すことは稀です。
一言で言えば、発表報道する個人、と表現するのが妥当ではないかと本書からも伺えました。

2013年5月5日日曜日

『サッカー戦術クロニクル』

『サッカー戦術クロニクル』
西部謙司

ゴールデンウィークということで、前から気になっていた本を一気に購入しました。
政治、経済、マーケティング関連、哲学、小説、etc

今回紹介するのが、スポーツ関係の一冊。
特にサッカー好きとしては外せない一冊。
以前から読みたかったのです。

サッカーを見る場合に、何を考えているでしょうか。
華麗な足技。
スーパーゴール。
イケメン。
 などなど。

しかし、サッカーの戦術と、戦術と個の選手の関係、またその歴史といったことを理解すれば、もっと楽しく観戦ができます。

本書はトータルフットボールとは何か?という問いを最初に立て、これまでのサッカーの歴史から、各時代の有名だったチームに焦点をあて、戦術を類型化するとともに詳しく解説しています。

それぞれの時代を飾るチームは、サッカーファンなら既に知っている人は多いと思います。
しかし最近サッカーを見始めた、という方には少し難しいかもしれません。
そういう方々には『宮本恒靖のワンランク上のサッカー観戦術』を事前に読んでおくことをお勧めします。



2013年5月3日金曜日

『茶の本』

『茶の本』
岡倉天心

100年以上前に、ニューヨークでも出版された一冊。
茶に関して書かれた本で、世界中で読まれているもの。

幼い頃、お茶といえばただの飲み物だったが、年を取るたびにそれに対する意識は変わってきた。
おそらく日本という社会で生活しているうちに徐々に個人にしみ込んでいくものなのだろう。それが文化というものなのだろうかとも思ったり。

本書では、茶の期限、種類など詳しく説明している。また、茶と禅、あるいは芸術鑑賞などについても解説している。そのため、海外に行く前に日本人が読み、他者に広めていくという目的でもいい。

外国に行くと、もちろん現地の文化に触れる機会が増え、それを理解することが求められる。しかしながらこれ以上に求められるのは、自国の文化をどれだけ知っていて、それをいかに面白く、うまく説明できるか、という点である。
日本人が日本にいて感じないこと、気付かないことは、自身がマイノリティとなった環境で初めて強く感じることが多い。

近年、しばしば国際人だとか、グローバル人材という言葉があるが、彼らこそ、自国の文化や自国に関する知識が多いことが求められる。



2013年5月2日木曜日

『はじめてのゲーム理論』

『はじめてのゲーム理論』
川越敏司

数学関係が苦手な人がしばしばお世話になるブルーバックス。
今回はゲーム理論について解説された一冊を紹介したい。

数学が苦手でも、ゲーム理論の考え方は政治や経営などにも影響してくるので、最低限は理解しておくべき分野である。
本書はその基礎から丁寧に解説し、練習問題、そして応用的な要素など、幅広く盛り込んでいるため、初心者にはおすすめ。
ナッシュ均衡に関する交差点の例は非常に分かりやすい。

しかしこの手の理論はいくらでも奥がある。さらに学習を続ける人のための文献リストも活用したい。

『政策立案の技法』

『政策立案の技法』
ユージン・バーダック

カリフォルニア大学バークレー校公共政策大学院の教授の授業などを実際に現地に留学した方々が日本語に翻訳した一冊。
バークレーと言えば、カウンターカルチャー、革新的なアイデアなどリベラルな気風の土地。私も何度か訪れたことがある。

バークレー校は理系文系問わず、公立大学では世界トップクラス、いやトップ。
アイビーリーグと並ぶ名門中の名門。
孫正義さんや緒方貞子さんが過去に在籍していた大学である。

本書では政策立案にあたって、踏むべきプロセスなどが細かく書かれており、公的な機関で働いている人はもちろん、企業の経営などにも役に立つのではと感じた。
主に8つのステップにわけて、政策立案について解説している。

1.問題を定義する
2.証拠を集める
3.政策オプションを組み立てる
4.評価基準を選ぶ
5.成果を予測する
6.トレードオフに立ち向かう
7.決断!
8.ストーリーを語る

本書を読む前に、最低限度の関連する知識があると、より深く理解できる一冊である。

2013年4月29日月曜日

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
村上春樹

ミーハーである私は、発売直後に手に入れるわけでもなく、根っからの村上ファンであるわけでもない。ただミーハーなのである。
だからこの時期に買い、読んだ。

既に多くの知人も読了しており、賛否両論の意見が飛び交っている。
賛否両論の意見が飛び交うこと自体が、彼の影響力の大きさを物語っている。
当然、読者によって感じることは異なる。個人的には、境遇が若干似ているなどとの理由により、今回の作品を堪能した。

少し心に傷というか、引っかかるものを感じる人が読むと良いと思う。
最近言われるリア充という部類の人間よりも。

2013年4月28日日曜日

『現代の金融入門』

『現代の金融入門』
池尾和人
ちくま新書

金融が少し苦手なので、改めてしっかりと学ぼうと手に取った一冊。
入門とあるが、素人にとっては内容が濃い。
むしろ全く金融に関して知識も興味もなかった人が読むと、さっぱり分からないことが多いかもしれない。
ただし、現在しばしば耳にする金融緩和などに関して解説しているため、時事問題の理解には一役買うだろう。

一つ一つ丁寧に理解しながら、ゆっくり読み進めることをお勧めする。
巻末には更に学習する人のために、参考書リストがのっているため便利である。

2013年4月27日土曜日

『モンスター』

『モンスター』
百田尚樹 
幻冬舎文庫

2013年、『海賊とよばれた男』で本屋大賞を獲得した百田尚樹の小説。
今月末に映画化される作品である。

かつてモンスターと呼ばれた女がいた。
容姿が醜く、周りからはいじめられ、終いには家族からも縁を切られた。
あまりよい思い出のない故郷を後にし、上京する。
上京すると、世界ではやはり容姿がものを言うことを改めて痛感する。

その女、和子は上京し、整形と出会う。
全てを整形手術に捧げ、美貌を手に入れていく。
誰もが羨む美人と化した和子は、これまでイジメをされてきた相手等に復讐を始めるのだった。

単純に、一般人が足を踏み入れにくいとされる整形の世界を細やかに描いているため、
非常に新鮮である。
女は顔なのか、美とはなんなのか、といった問いを与えてくれる。

確かに現代では、顔が重要だ。初対面同士では第一印象が最も重要であるなど、社会のあらゆる場面で、俗にいうイケメンと美女は得をしている。
これは事実だ。

生まれながらにもった容姿と整形によって作られた容姿。
ほとんどの人は後者に嫌悪感を抱く可能性が高い。
しかし作中に出てくる、美容整形外科の医師の言葉が響く。
「なんの努力もしないで手に入れたものと、血のにじむような努力をして手に入れたもの、どちらが評価されるべきなのか」と。

確かに金さえあれば、外見上のものは全て手に入れられる。
しかし和子は和子のままであって、これまで育ってきた内面は、その人が生きてきた結果でもあるため、簡単には変わらない。
そんなジレンマを頭のどこかに持ちつつも、恐ろしいほどの信念で外から変わっていこうとする姿を描いている。

外見でなく内面を重視すると言う男は多いが、それはほとんど建前である。
レストランに行って美人に対応されれば当然うれしいし、美人が困っていたら積極的に助けようとする。
現実世界にも随所に見られる男の愚かさを描いている点も面白い。


2013年4月26日金曜日

『職業としてのAV女優』

『職業としてのAV女優』
中村淳彦
幻冬舎新書 2012年

「職業としての〜」といえば、私は職業としての政治、あるいは職業としての学問が真っ先に頭に浮かぶ人間なのだが、今回はAV女優。
著者の膨大な取材データからこの業界がかなり詳しく書かれている。

間違いなく男性ならば必ずお世話になるものだろう。
しかし実際の供給側、つまり女優側は非常に過酷なものである。
もちろん成功し、有名になる女優がいるが、それはほんの一握りに過ぎない。
厳しい世界なのだ。

現在のこの業界を具体的なデータや体験談を豊富に用いて、詳しく解説している。
男性、女性ともに必読の一冊と言えるだろう。


2013年4月24日水曜日

『アルケミスト 夢を旅した少年』

『アルケミスト 夢を旅した少年』
パウロ・コエーリョ

世界で2億部以上売れたと言われている一冊。世界的なベストセラーです。

子どもから大人まで、どの年代が読んでも面白いはず。
子どものころ読み、40代くらいで再び読み返すと、それぞれの時点で違った感情を抱くのではないだろうか。

物語は羊飼いの少年が主人公。
ある日、王様に会い、エジプトにあるとされる宝物を探しにいく。
旅の途中で起こる数々の出来事は彼に影響を与え、その彼の言動は我々読者に影響を与える。
単なるフィクションではなく、人生の参考書と言っても過言ではないくらい哲学的な要素が含まれている。

現時点で強く印象に残った言葉を紹介したい。
おそらく年齢とともに感じることは変わっていくのだろう。

決心するということは単に始まりに過ぎないということだった。決心するということは、まるで、急流に飛び込んで、その時には夢にも思わなかった場所に連れて行かれるようなものだ。- 愛蔵版P82より

自分の運命の実現に近づけば近づくほど、その運命がますます存在の真の理由になっていく - 同P89より



 

 







『就活のバカヤロー 企業・大学・学生が演じる茶番劇』

共著 石渡 嶺司 大沢仁
出版社 光文社新書

就職活動(就活)を企業、大学、学生の視点から書かれたものである。
学生がこれを読めば就活に勝てるというわけではないが、面接などでつまらない失敗はしないと思う。

また企業の採用活動(採活)にも触れられているので、就活を控えている学生にとっては良い情報になるかもしれない。

自分は就活を控えている学生だが、納豆学生にならないように気をつけたい。

2013年4月21日日曜日

『フォークの歯はなぜ四本になったか』

『フォークの歯はなぜ四本になったか』
ヘンリー・ペトロスキー
忠平美幸 訳

実用品に関する進化論を記した本。
タイトルにあるフォークの進化の過程はもちろんのこと、ファスナーやマクドナルドの容器など、本書では幅広く日用品を例として取り扱っている。
常日頃特別意識しないようなものが例として取り上げられるため、本書を通して、
文字通りの”もの”の見方が少し変わった。
デザインは人間の生活に密着しており、デザインは機能よりも失敗に従うという点を著者は大前提として主張する。

今回は本文中で印象に残った言葉を紹介したい。


インダストリアルデザインの世界において、あらゆるものの形を決定するのは一種の流行。受け入れられる形であって、斬新でなければならない。


デザインには数多くの難しい問題があり、必然的にその解決策はデザイナーたちが理解している過去の問題箇所ばかりか、未来へと続く道を彼らがどれだけはっきり見据えているかによって決まる。


デ ザイナーはもっと慎重かつ徹底的に、外見や短期的なデザイン問題の目標の先を思い描き、それらの長期的な結果に目を向けなければならない。ビジネスの世界 に例えて言うのなら、四半期の決算を越えた未来を想像し、いつの日か書かれるであろう社史の見地から物事を考えなければならない。


文明の進歩そのものが過誤と欠点と失敗の相次ぐ修正の歴史。





一体誰のために、何のためにデザインするのか、という点を常に考慮する必要性があるという点が印象に残る。
また、進歩は常に失敗から見いだされ、デザインも例外ではない。この点から、この世に存在する全てのものはそれぞれの多様な見方から評価を下した場合、未だに不完全なものであるということを痛感した一冊であった。


2013年4月20日土曜日

『世界から猫が消えたなら』

『世界から猫が消えたなら』
川村元気

余命わずかと宣告された主人公が悪魔と出会う。
その悪魔の力は特別な力を持っていた。
世界から何か一つのものを消すことで、引き換えに主人公の寿命が延びるという能力。
主人公は、毎日一つ、あるものを消していくが、同時に大切なことに気付いていく。

なんだ、よくある若者のケータイ小説の類いか、と思っていたが、裏切られた。
角田光代の言葉を借りれば、哲学本のようである。
大切なものは失ってから初めて分かる、とはよく聞く言葉だが、改めてそれを痛感した一冊。



2013年4月18日木曜日

『浪費が止まるドイツ節約生活の楽しみ』

『浪費が止まるドイツ節約生活の楽しみ』
サンドラ・へフェリン

 ドイツには何度か行ったことがある。街もキレイで、人々も真面目な人が多いような印象だった。日本やスイスほどではないが、電車もほぼ時間通りに発着する。良い意味でキッチリとしたことが好きな国民性なのだろう。

 第二次世界大戦の敗戦国として、しばしば比較される日本とドイツ。似ている部分もあれば、全く異なる部分もある。本著ではその異なる部分を改めて痛感する結果になった。
いくつか紹介する。

⑴環境に対する意識
 環境先進国と呼ばれるドイツ。国や地方自治体が行う環境政策、あるいは企業による環境への取り組みの積極性はどの国も見習うべき点である。しかしそれらの意思決定を後押ししている、というか、尻をたたいているのは、他ならぬ市民なのである。
 例えば、マスメディアに登場する広告一つでも日本と違いが出る。ドイツでは環境に配慮しているという点が最も強調されるそうで、市民は環境に配慮しているかどうかで、商品購入の意思を固める場合が多い。つまりグリーンコンシューマーが多いため、企業も環境への取り組みを積極的にやらざるを得ないのだ。
 日本でも最近は環境にやさしい、などというフレーズが使われるようになったが、日本人はあくまで、経済的な障壁(環境に配慮した場合にかかる追加的な費用)がなくならないと、購買行動には移さないことが多い。
 また、環境に配慮して生活を送ることは、結果的に節約志向につながると筆者は述べていた。

⑵健康に対する意識
 ドイツ人は健康体を最も重要視する。食事にも気を使っているようだ。
(しかし、私が訪れた際は、バカでかいデザートやバカでかい肉を食っている人々が目に付いたが‥)ドイツ人は朝、昼をしっかり食べて、夕飯を質素にすませる。確かにこれは健康に良さそうだ。
 また、女性に関しては自然体が最も美しいとされ、無駄な化粧などは使用しないようだ。やせ過ぎもあまり良くない。

⑶個人の自立心
 ドイツ人は自立にこだわる。例えば、女性は結婚後も働く。いざというときに自分で生計を立てていけるように備えておく意図があるらしい。女性の社会進出という点では、日本は見習うべき点が多いだろう。
 子育てに関しても同様で、子どもに対しても一人前の自立を求める。なんと12歳で将来の職業を自ら決定し、その道に進むという。ドイツ人は生まれ持った才能を大事にするという国民性が垣間見える。この点は日本と真逆。子どもには子どもの対応を、という色が日本では強い。アメリカでもそうであったが、子どもでも「一人の人間」として対応されることが欧米では多い。

読んでいると、これはさすがにケチすぎる、突っ込みたくなる点も多々あったが、浪費癖のある人に是非一読することをおすすめしたい。


2013年4月15日月曜日

『使ってもらえる広告』

『使ってもらえる広告』
著者 須田和博    アスキー新書

自分はテレビが好きでよく見ている。そのこともありCMも好きでよく見る。しかし最近はインターネットが普及しテレビを見る時間とインターネットを使っていてる時間というのはほぼ同じであるらしい。だから企業の広告費というのもCMからネットの方にシフトしているようだ。

「だから広告の形はその影響もあり変わっているんだ。」というのがこの本である。見てもらう広告から使ってもらう広告への移行がわかる。

本の中で紹介されていて自分が面白いと思った使ってもらう広告をいくつか挙げてみようと思います。
   ①UNIQLOのUNIQLOCKー使ってもらう広告というのはこういうことかというのが一目で          わかる。シンプルだがそこらのCMよりおしゃれ。
   ②ワコールのおねだりメールー男性としてはこれは断れない気持ちになると思う。笑

2013年4月14日日曜日

『15歳からのファイナンス理論入門』

『15歳からのファイナンス理論入門』
慎泰俊

タイトルの通り、中学生向けのファイナンスに関する本。
しかし数字に弱い大学生や大人が超入門書として読んでも面白い一冊です。

印象に残った点をざっとですが、書き留めておきます。

⑴人は多くの場合リターンに慣れてしまっているため、リスクを取ろうとしない。
すると、追加的なリターンに徐々に幸せを感じられなくなる。

これは限界効用逓減の法則のことでしょうか。空腹時に食べる一つ目のおにぎりは非常に美味しいと感じますが、2つ目、3つ目と繰り返すにつれ、その効用は減少するというような例が頻繁に引き合いに出されます。

⑵時間が限られているときの意思決定と、人生における意思決定は共通する。

一見すると、人生は長く感じますが、同時に短いものでもあります。年末になると、一年の短さと時の経過の早さをしばしば感じます。人生も限られた時間、であるので、その中で何ができるか、何をするかなどの意思決定をしていくことは常に重要です。10分などと、明確に短い時間しか与えられていない場合は何を最初にすべきか、をよく考えますが、それをより長いスパンでも考えることは重要です。


他にもファイナンス理論の基礎的なことが書かれているので、ファイナンス理論とはなんだ?という人にとってちょうど良い本だと感じました。

2013年4月13日土曜日

『環境政策学のすすめ』

『環境政策学のすすめ』
松下和夫

元環境省で政策立案に関わり、昨年まで京都大学で教鞭を執っていた松下教授の本。

21世紀のグローバルイシューの一つとされる環境問題に対する環境政策の入門書といえる。
本書はまず環境政策の歴史から入り、その上環境政策の具体的な手法なども紹介しているため、読みやすく、かつ内容も充実している。

巻末には、更に環境政策を学ぶ人に向けた文献リストもあるので、非常に便利。

2013年4月12日金曜日

『リーダーを目指す人の心得』

『リーダーを目指す人の心得』
コリン・パウエル

日本では、国務長官としてなじみ深いパウエルさんの本。
誤解を恐れずに言うと、昨今蔓延る自己啓発本みたいな本となんら変わりはないが、自身の経験が多く交えてあり、面白い。
特に自身が所属していた軍隊内部での話をリーダーシップの実例として多く用いている点が、他のいわゆる自己啓発本やビジネス本と呼ばれる本とは異なる点である。

また政治の舞台の話も多い。ビジネスとは別世界に感じる場所でのリーダーシップを語っている。しかしこの本で書かれていることはビジネスシーンにおいても重要なことであると感じた。


2013年4月11日木曜日

『生きているだけで、愛。』

『生きているだけで、愛。』
本谷有希子


作家であり、劇団をプロデュースする人でもある本谷さんの作品。


美人だが、鬱病を抱えた寧子は津奈木と交際して3年になる。
お互い対照的な性格なのだが、自我に閉じこもっているという点が共通していると感じた。
自分の理想が崩れるのを恐れ、閉じこもる。
外からこれまで自分になかったものが入ってくると拒絶反応を見せてしまう。

誰かに理解されたいという気持ちがあるものの、素直に言い出すことができない現代の若者と重なった。



『フラット化する世界』


『フラット化する世界』
トーマス・フリードマン


世界的なベストセラー。
ジャーナリストのトーマス・フリードマンの本。

グローバリゼーションの進展によって世界はフラット化しつつある。
著者は現在のグローバリゼーションを3.0とし、一昔前のグローバリゼーションよりも更に多くが変化し、あらゆる者がコモディティ化したと述べている。特に従来のグローバリゼーションと比べ、その進展の速度と範囲が桁違いであるとしている。

ビジネスの場で起きた主な変化として著者は10の項目を挙げている。
例えば以下のようなもの。

アウトソーシング
オフショアリング
サプライチェーン
インソーシング
インフォーミング

個人的には特にインフォーミングが今後重要になるのではないかという根拠のない考えがある。笑

本作品が発表された後、世界ではSNSの普及拡大という大きなターニングポイントがあった。作中でもフリードマンはちかいうちにこのSNSのようなものができるといった考えをちらつかせていた。SNSだけが要因ではないが、このようなインターネット上のサービスはある国家の独裁体制を崩すまでの力を秘めるものになった。

これまで所持し得なかった力を一般人が手に入れたことで生じた変化は正と負の両方の面を持っている。フラット化は新たなイマジネーションを生んでいるが、必ずしもよいものばかりではないということ。
作者はジェットブルーの創業者ニールマンとビンラディンを例えにし、それぞれを語る。
フラット化によって生じる正と負のイマジネーション。著者は多くの人々が希望を持ってニールマン型のイマジネーションを目指すことを望んでいる。全てのものがコモディティ化する一方で、イマジネーションだけは特別である。


最後に、作中で印象に残ったフレーズを紹介。

持続的なイノベーションは信頼から生まれる。
リスクを負えないとイノベーションはない。
 - シードマン

2013年4月6日土曜日

『理科系の作文技術』

『理科系の作文技術』
木下是雄

初版は1981年に発効されています。
1981年といえば、レーガノミクスが発表された頃だそう。
その時代から現在まで作文のための必読書と言われている一冊です。

理科系のための、とタイトルにありますが、文系の人々にとってもかなり参考になります。
読み手を理解し、簡潔に分かりやすく書くという点を今強調しています。

新聞や論文など、文章の種類はそれぞれ異なりますが、文章を書くあらゆる人が読むべき本であることに間違いはありません。

特に文章を書く機会が多い学生時代に読んでおきたいですね。



2013年4月5日金曜日

『永遠平和のために』


『永遠平和のために』
カント

古典が今でも読み継がれているというのは、内容が現代にも通用するからですよね。
例えばトゥキュディデスあたりは、現代の国際関係学のほとんどを、彼が生きていた当時既に知っていた、というのは政治学を学ぶ人がよく耳にすることです。

平和とはなんなのか、という問いについて考える場合に、この本は外せないでしょう。
非常に短いのですが、後に多くの議論がなされており、現代の様々な学問分野に影響を与えている一冊です。

特に印象に残っているのは、彼が「公開性」に言及していること。
現代の政治にも共通するテーマの一つです。
近年の急速なインターネットの発展によって、「公開性」は更に複雑かつ重要なものになりました。
今一度、古典を読み返し、過去の出来事やそこから生まれた思想などに触れてみる良い機会かも知れません。

『国際紛争』


国際紛争
ジョセフ・ナイ

政治学を専攻している学生でジョセフ・ナイの名を聞いたことのない人はいないでしょう。
これまで国際政治学者はかなり大まかに分けて、リアリストとリベラリストに分かれてきました。
前者の例を挙げるとすればツキュディディス、ハンスモーゲンソー、後者の例を挙げれば、ベンサム、ミル、ウッドローウィルソンあたりですね。

一般的にナイは、コへインとともにネオリベラリズムの代表として挙げられます。
ネオリベラリズムとは簡単にいえば、国家の行為は経済的相互依存や国際機関によって制約されると見るような考え方です。
本書ではリアリズムとリベラリズムについて言及し、さらに両者は現代社会を説明するのに限界を迎えていると説明します。
またナイは現実を常に直視しており、現実に起きたことから理論を導きだしています。

ペロポネソス戦争から説明は始まり、第一次世界大戦、第二次世界大戦と歴史的事件を背景に国際政治学はいかなるものか、またそれぞれの考え方を本書では紹介しています。
まさに国際政治の教科書といっていい一冊でしょう。

『アホ大学のバカ学生』グローバル人材と就活迷子のあいだ


『アホ大学のバカ学生』グローバル人材と就活迷子のあいだ

近年話題にあがりやすい、大学教育のあり方。
また、それと密接に関わっている就活の話です。

どれも現役の大学生、就活生にとっては耳を塞ぎたくなるような内容であると同時に、
どうしても耳を傾けてしまうような話題ですね。
学生、大学組織の両者を風刺したこの作品は、誰が読んでも面白いものだと思います。

まず、最近の学生に関してですが、
近年SNSやインターネットの普及拡大によって、若者の生活は大きく変化しました。
実際の場で意見を言えない人もTwitterFacebookに意見を投稿し、何かを主張する風潮が出来上がってます。
まさにデジタルネイティブと言われる若者たちですが、
一方で人間として最低限必要なスキルや常識が欠如しているとしばしば指摘されます。
(私もしかり)


次に大学に関してですが、
本にも出てきますが、近年の大学数は増えているそうです。
少子化の影響で小学校中学校高校それぞれの数は減っているのにもかかわらず。
確かに聞いたことのないような大学が多く出てきたし、
中には卒業生を一人も出さずに廃校してしまった大学もあるというのは驚きに値します。
大学は多様化し様々な学部を携え、多くの教育システムが生まれていることは間違いないでしょう。
例えば、大学生の基礎力を徹底的に養う大学などが作中で挙げられておりました。

また著者は近頃上昇傾向の国際教養大を例にとり、グローバル人材育成の重要性を
指摘しています。
私の友人に早稲田の国際教養学部の学生が多くいますが、天文物理学から、開発経済までと幅広いことを学んでいるようです。
一方で専門性の欠如が指摘されていますが、他の一般有名大学に通う学生にも専門的な知識など期待できるのでしょうかと言われると‥ 特に文系学生。


どちらにせよ、今後日本の大学が衰退するのは間違いないことです。
他のアジア諸国の大学が授業を英語で行い、積極的に海外の大学と提携しており、
グローバル化に合わせた教育を念頭に置いているためです。
これらの新興国の大学に抜かれるのは時間の問題であり、既にほとんどが負けていると言っても過言ではないでしょう。
また、日本人の優秀な学生の海外流出も増加する気がします。

これまではアメリカやヨーロッパへの流出が主流でしたが、
よりコストの低いアジア諸国の大学への進学や留学が増える可能性もありそう。

またビジネスの場に置いても新興国市場で通用する人材を求めているため、
このような国々で経験を積んだ学生は重宝されますよね。

そのような潮流の中で、日本の大学は一体どのような手を打つのでしょうか。
今後の大学教育に注目していきたいと思った一冊でした。

『格闘する者に◯』


格闘する者に◯
三浦しをん

出版社を目指し、就職活動をする女子学生を取り巻く物語。
しかし同時に彼女はある地域で有名な一家の娘でした。
伏線というのか分かりませんが、その点が物語を面白くしています。


就職氷河期と言われた時代を過ごした三浦さんのデビュー作。

『舟を編む』


『舟を編む』
三浦しをん

自分の知らない社会の側面を教えてくれるのが本のいいところ。
2012年本屋大賞という帯が目に入ったため手に取ってみることに。

言葉はその国の文化を象徴するものであり、言語によって人々は多少の束縛を受ける。
日々変化し、追加されていく言葉は、社会と連動している。
膨大な数の言葉を一つにまとめたのが辞書。
『舟を編む』は辞書制作に人生をかける人々を描いた作品。

作品中に出てきた、辞書ごとに性格がある、というのは非常に興味深い点で、確かに幼少の頃、国語辞典によって同じ言葉でも解説が違ったな、と曖昧ながら思い出す。
現在個人的に最も多く使用するのは英語の辞書だが、制作した会社、人々によって解説文や例文はだいぶ異なるのはどの言語の辞書も同じだ。

この作品を読んでいると、自然と一字一句の意味を咀嚼しながら読もうとしてしまう。

現在では多くの人々が2~3カ国語ができる時代が到来し、日本人でも未だマイノリティだが、外国語ができる人々が増えている。
やはり言語を多く知っているということはより多くの考え方、価値観、文化に触れることができる入り口、または手段となるため、今後不可欠なスキルとなるだろう。その一方で、母国語に関して関心を持ち、知らない外国語を調べるような気持ちで、日本語の意味を改めて、咀嚼していこうと思う良いきっかけとなった。